動悸、息切れ、めまい、発汗、のぼせ、ほてり、痺れ、冷え性、喉のつまり感など、体のいろいろな部位に多彩で浮動的な症状があって、内科などで精密検査を受けても異常が見つからず、「自律神経ですね」「気持ちの問題だから心配しないで・・・」と言われて、自覚的には苦しいのに余り取り合ってもらえず、困っている患者様も多いと思います。自律神経の調整がうまくいっていなくて、多方面の臓器に症状が出ている場合は、漢方薬の出番になることが多いです。症状や患者様の体質に応じて、加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯などの薬が処方されます。もう1つ、漢方がよくつかわれる場面としては、女性のホルモンバランスに関連して、月経前にイライラ感、抑うつ感が高まる月経前緊張症候群という状態があり、加味逍遙散、桃核承気湯、当帰芍薬散などといった薬が使われることも多いです。加味逍遙散は更年期障害に対してもよく処方されます。また、最近ではPTSDのフラッシュバック症状に対して、有名な神田橋條治先生が提唱された、四物湯+桂枝加芍薬散(桂枝加竜骨牡蛎湯が用いられることもあり)も多くの精神科医に処方されるようになりました。心理療法を行う場合でも、こうした漢方処方を併用することで、症状が速やかに改善していくことも多いです。
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