発達障害の薬物療法

  知的障害や学習障害を別にすると、発達障害には、ASD(自閉症スペクトラム障害、この中にはアスペルガー障害が含まれています)とADHD(注意欠陥多動性障害)という2つの大きな山があります。実際には中核的な「障害」と「健常者」の間に幅広いグレーゾーンがあり、発達「障害」という言い方でなく「発達凸凹」という呼び方を好まれる先生もいらっしゃいます。健常者の中にもいくぶんかはASD的な特性や、ADHD的な特性があったりするものです。また、ASDとADHDの特性を両方持つ方も珍しくありません。
  ASDの中核的な症状である社会的コミュニケーションの障害や感覚過敏などに対しては、残念ながら治療薬はありません。社会的コミュニケーションに関しては、社交性を刺激するホルモンであるオキシトシンが有望視されていますが、2018年現在、商品化されてはいません。これらの症状に対する現在主流となっている対応は行動療法的な対応になります。ADHDについては、中核的な症状である注意障害に対して、アトモキセチン(商品名:ストラテラ)、メチルフェニデート(商品名:コンサータ)という2つの処方薬があります。これらは高額な薬ではありますが、確かに多くの患者様で有効性を確認しており、多動性がおさまったり、集中力が高まったりという効果が出ることがあります。
  また発達障害に伴って、うつ症状、幻覚妄想症状、強迫症状などが併発することがあり、それぞれの病態に応じた薬物療法が必要になることがあります。発達特性のある方は、薬に対しても過敏に反応することが多く、少量から徐々に増やしていく配慮が必要になります。